『ガルシアへの手紙』
『ガルシアへの手紙』
エルバート・ハバード 著 ハイブロー武蔵 訳・解説
これは私が社会人になる時に、今は亡き父が送ってくれた本です。当時読んだ時は、説教くさい本だなー、くらいの感想しかなかったのですが、先日本棚に埋もれているのを発見し、再度読んでみました。
ガルシアとは、かつてアメリカとスペインがキューバをめぐって戦争をした時に、キューバにいた反スペインのリーダーです。アメリカはそのどこにいるかもわからないリーダーに、大統領からの手紙を届ける必要がありました。その困難な要求に見事に答えたのが、「ローワン」という将校です。
このエピソードから、いかにローワンのような人物がこの社会で求められているか、あなたはどうすればローワンのようになれるか、ということを書いています。
この本の中で、ローワンがいかにしてガルシアに手紙を届けたか、という細かい描写はありません。どうすればローワンのような人間になれるのか、ということを中心に説明しています。
特に心に残った描写です。
・“目の前の物事に対して、「自分がやるんだ」という気持を持つことが大切だ。
自分でやる、他人の力をあてにしない、他人のせいにしない、言い訳なんかもちろん考えない、自分が見込まれ頼まれた以上その信頼に何としても応える。
これがこの社会を支え、この世の文明を発展させていくということである„
・“国が何をしてくれるかではなく、あなたが何を国のためにするのか„
・“できる人、成功する人の覚悟は大きく三つある。
①気概と熱意を持ち続けること。
②明るく前向きにいこうと思い続けること。
③他人に思いやりと感謝を持ち続けること„
・“他人の成功をうらやむこともしたくない。結局、人生は自分なのである。自分の生き方を自分なりに立派に遂行していくのである。そうすることに懸命になれば、他人の目はある意味でどうでもよくなる。それよりも自分の目で自分を厳しく見つめざるを得ない。それが、他人からの評価を結果として受けることになるし、その人にふさわしい素敵な人生を送れることになるのである”
100ページ足らずの短い本です。長い自己啓発本はちょっと…という人も、入りやすい本だと思います。
社会人として、責任を持って自分の仕事を全うする、当たり前のことですが、決して簡単なことではありません。
子どもから少し手が離れ、今から社会人としての自分を大切にしていこう、と思い始めている私に、父が社会人としての心構えをもう一度教えてくれたような気がしました。
若い時に読んだ時は特に良いと思わなかった本も、年を取って読んでみると、新たな発見がありますね。